Tour Matsuri Session 12.16 DRUM LOGOS

ZAZEN BOYSのライヴに行ってきた。

このKIMOCHIを文字に、言葉にするなんて・・・できない!

 1. Idiot Funk
 2. SUGAR MAN
 3. HIMITSU GIRL'S TOP SECRET
 4. Honnoji
 5. Weekend
 6. MABOROSHI IN MY BLOOD
 7. IKASAMA LOVE
 8. DARUMA
 9. Fureai
 10. 安眠棒
 11. You make me feel so bad
 12. Asobi
 13. I Don’t Wanna Be With You
 14. KIMOCHI
 15. COLD BEAT
 16. FRIDAY NIGHT
 17. RIFF MAN
EN1. Memories
EN2. Sabaku

毎回ザゼンのライヴに行く際には「きっとスゴくパワーアップしてるんだろうなぁ。」という予想と期待をしておくのだが、その予想と期待はいつも必ず裏切られる。なぜなら、そんな予想や期待など遥かに超越した姿を毎回見せ付けられるからだ!

平凡にして凡庸な、しかし適切な一言で彼らの音楽を表そう。

「かっこいい!!」

ライヴレポートというものは非常に苦手だ。もともと、音楽だけでなく映画などのあらゆる芸術・表現に対する感想・感情というものは観る者・聴く者の心の中にのみ生じるものであり、所詮恣意的記号に過ぎない言葉に変換された感情など劣化した微量の情報に他ならない。

ライヴを見ての感想を「かっこいい」という言葉にしてしまった瞬間、あの時確かに体験し、今の今まで心の中に残っていたはずの数多の複雑な感情、例えば「キモチイイ」「切ない」「鳥肌が立つ」「酩酊感」「焦燥感」といった渾沌とした感情は「かっこいい」という言葉によって掻き消され、誰にも伝えられることなく話者(筆者)の心の中に永遠に留まることになるのだ。

だからといって、言葉が無意味だとか、分かり合おうとすることが虚しいなどと言うつもりはない。ただ、同じ気持ちを共有したいのなら、まずは同じものを見たり聴いたりしてみよう。そして、どんなふうに見えたか、どんなふうに聴こえたか、どんなふうに感じたのかについて言葉を尽くして語り合えばいい。全てはそれからだ。

・・・俺は一体何が言いたいんだろうか。それは多分、「ZAZEN BOYSのライヴは見に行かなきゃ絶対に損だ!」という押し付けがましくも確信に満ちた言葉なのかもしれない。彼らこそ絶対的に支持できるバンドだと俺は信じているから・・・。

12月24日(水)には長野でZAZEN BOYSのライヴがあるのだが、うちのバンド、つまりOOPARTSのメンバーにはぜひ彼らの姿を見て何かを感じ、多くのことを学び取ってもらいたいという衝動に駆られたが、社会人にとって“平日”というものが如何に大きな脅威であるかは想像に難くない。それはそれとして、誰かと一緒に「あのベースソロがさぁ・・・」「あの曲のアレンジが変わってて・・・」などと誰かと一緒に語り合いたいという気持ちも大いに感じている。


素晴らしいこの夜に水を差したいわけではないが、今夜のライヴだけでなく、あらゆるライヴにおいて常々俺が不快に感じている人間たちについて少しここに書き記しておきたい。

ライヴには老若男女、友達恋人、様々な種類の人間、様々な関係を持つグループが訪れるわけだが、俺がいつも眉をひそめてガンを飛ばしそうになる者たちがいる。それは、(バ)カップルだ!いや、ア(ホ)ベックと言っておこう。いやいや、カップルでいいか。なぜここまで俺がカップルを嫌悪するか、それは大概のカップルが“男の方だけが本当にライヴを見たくて、女の方は大して興味を持っていない”という性質を備えているからだ。お互いを本当に好きでいられるたった一人の異性と巡り会えるだけで神に感謝する程の幸運だというのに、その二人が趣味まで共有できるなどというのは計り知れない幸運である。趣味の合っているカップルが存在しないとまでは言い切らないが、明らかに“趣味は合わないが一応相手に合わせている”という様子のカップルがよく目に付く。

ここからは全くの俺の想像&妄想だが、まず男が彼女に自分のセンスの良さをアピールするためという不順な動機か、または彼女に自分が素晴らしいと思う世界を見せてあげたいという純粋な動機のもとに「ザゼンってかっこいいよ。ライヴ行こうぜ。」と彼女を誘う。それに対し彼女は心の中で「はぁ?ザゼン?知らねーよ。エグザイルの方がいいよ。」と思いつつ、この誘いを断ることで二人の間に亀裂が生じるのではないかという恐怖に突き動かされるか、もしくはこれを機にさらに彼氏の気を惹こうと画策するかして、「いいよ。」と答える。そしてライヴ当日、彼女を連れてきたはいいが、エグザイル好きな彼女は10 分で我慢の限界、もはやステージ上で奏でられる音楽には微塵の関心もなくなり、彼氏の方を見たり周りをキョロキョロしたりして落ち着きをなくしてくる。そしてその様子を察知した彼氏は横目で彼女を窺いつつ、「やっぱり連れてこなければよかった。」と己の軽率な行動への後悔の念に苛まれ、こちらももはやステージには集中できなくなってくる。かくして彼はライヴ終了後に二人の間に訪れるであろう重く気まずい空気の打開策に頭を悩ますことになるのだ。嗚呼、これぞ青春の光と影!の影の部分!

俺の妄想はどうでもいいとして、バンドが演奏している最中に興味なさげな人間にキョロキョロされると目障り至極だ。特に俺の目の前にいて後ろを向かれると、こちらは目が合いそうになるのを避けながらステージを見なければならず、それが女性だった場合は最悪のケースになるということは言うまでもない。

カップル以外にも目障りなやつらはいる。それは“知ったかぶり野郎&主体性がなく流されやすい野郎”の組み合わせだ。こういうケースでは男友達同士というのがほとんどだ。彼らの特徴とはどんなものか。まず、知ったかぶり野郎とは読んで字の如く、自分の知識やセンスの良さを相手にアピールしようとしているにも関わらず、大した知識もセンスもなく、あまつさえ間違った情報を偉そうに話していたりする人間だ。そして、主体性がなく流されやすいやつとは知ったかぶり野郎の強引な誘いを断りきれずライヴに連れてこられた挙句、聞きたくもないウンチクを延々ライヴ開始までの間ずっと聞かされることになる人間だ。“流される”といっても別に知ったかぶり野郎に感化されるわけではなく、心の中では「うぜーなぁ。」と思いつつも、知ったかぶり野郎の調子に合わせておくことで己の友人の数が減るリスクを回避したつもりになって安心している輩だ。そして、知ったかぶり野郎はそんな彼の心中を察するような人並みの繊細さは残念ながら持ち合わせてはいない。合掌。

さらに付け加えるなら、知ったかぶり野郎は大概、自分が見に来たライヴに出演するバンドのメンバーを「向井はさー・・・」などと呼び捨てにしている場合がほとんどだ。嗚呼、自己顕示欲と自惚れと傲慢と不遜が彼らのステータス!


恋人も友人も、自分を偽ってまで手に入れなければならないものなのだろうか。そして、本当の愛や友情とは一体どんなものなのか。・・・という高尚な思索を巡らすのも悪くはないが、今は眉唾物の空虚な愛や友情のダシに純粋で崇高なはずの芸術が利用されることが許せないのだ。

ART FOR ART'S SAKE