静止したモノレールの中で

夜、映画館へ出かけた。庵野秀明監督作品『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版：序 EVANGELION:1.0 YOU ARE (NOT) ALONE』を観に行ったのだ。今頃何故？それは、公開からほぼ１ヶ月経った今なら劇場も空いているだろうと思ったからだ。庵野・・・否、案の定、劇場は空いていた。全部で１０人にも満たないほどではなかっただろうか。そして俺は中段の真ん中の席に着いた。隣に座っていた女子２人は、アニメ好きの女子とそれに誘われて来たエヴァ初体験の女子というコンビだった。ま、そんなことはどうでもいいのだが。

映画の内容についてはここではもちろん語らないが、映像がデジタル技術の進歩に伴って旧版よりグレードアップしているな、と思った。とにかく、次回作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版：破』が楽しみだ。

ところで、あのアニメ好き女子に連れてこられた女子はこの作品をみてどう思ったのだろうか。まあ、今回は物語の序盤しか描かれていないのだから、きっと「すごい迫力だったー。」とか「絵がきれいだったー。」ぐらいの感想しか持てなかったんだろうな。ま、そんなことはどうでもいいのだが。

映画館を後にし、帰宅するために、モノレールに乗った。電話としてよりミュージックプレイヤーとして活躍する機会が多いケータイであぶらだこを聴きながら、いい気分で座席に座っていたのだが、ある駅に停車した途端、突如として車内の電灯が消えたのだ。「停電いたしました。」というアナウンスが聞こえた。確かに停電だ。「何事か。」と思った。「まさか、ヤシマ作戦か！？」とは思わなかった。どうやら停電しているのはこのモノレールだけらしい。灯りだけでなく空調も機能停止し、気温は上昇、俺の汗腺は久々に活躍の場を得て歓喜のうちに躍動し始めたようだ。しばらくしてようやく灯りが点り、涼しい人工の風が俺の皮膚の分泌液を蒸発させ、気化熱を奪っていった。

結局、１０分以上の足止めを食らってしまった。いや、「足止めを食らった」などという表現は別に足止めされても痛くもかゆくもない俺には相応しくないのだろう。そんな１日だった。

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