あなたを待っていたわ。

 『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』を友人と一緒に観に行った。俺は試写会で1回観ているので、これで2回目になる。

 1回目の時とは比べ物にならないほど感情を揺さぶられた。心臓が激しくビートを刻むのを感じた。涙が出そうになった。一人で観ていたら涙は何のためらいもなく流れ出ていたかもしれない。

 これまでの押井作品とは一線を画した極めて感情的な映画なんだということを強く実感した。ストーリー面はもちろん、音楽の使い方に著しく押井さんの“これまでの手法とは違う”演出の意図が色濃く反映されているように感じた。

 映画には2種類ある。初めて観た時から観る回数を重ねるごとに感動が薄れていく映画と、観るたびに新しい発見があったり別の見方ができるようになっていく映画だ。言うまでもなく『スカイ・クロラ』は後者である。

 1回目観た時に見えなかったものが見え、感じなかったものを感じ取ったからこそ、今回は胸をえぐられるような感覚を覚えたのだろう。だけど、この想いはいくら説明しても、言葉で言い尽くせるものじゃない。

 同じ映画でも、前回見えたものと、今回見えたものは違う。だから、何度でも観る必要があるんだ。また観たいと思えるうちは。


「昨日と今日は違う
 今日と明日も きっと違うだろう
 いつも通る道でも 違う所を踏んで歩くことができる
 いつも通る道だからって 景色は同じじゃない
 それだけではいけないのか
 それだけのことだから いけないのか」