大GAKUSEI/DAI日本人/犬日本人

neko-vs2007-06-21

ある授業で、普段は温厚な先生が怒った。「うるさい!しゃべるな!授業聞きたくないやつは出て行け!途中で出て行くことも許さん!」といった具合で。はぁ、こういうことってどこの大学でも起こっているんだろうな。

怒らない先生を特定し、その先生の授業なら私語はオッケー、と考えている大学生。それはほとんど無意識的。集団意志。徒党を組み、集団でいることで安堵感を貪る行為は道徳観念の放棄と罪悪感の麻痺を生む。

「人はひとりでは生きてゆけない。」確かにそうだ。しかし、彼らの場合は、「みんなやってるから、自分もやっていいんだ。」という短絡的な考えで行動しているだけに過ぎない。周りがザワついているから喋り出すし、他人が途中退席していくのを見たことがあるから自分も同じように出て行くだけなのだ。群れになった彼らは、他人と協力し合って何かをやることと、お互いに罪を共有し合ってごまかして他人に迷惑をかけることとどちらが多いのだろうか。

こんな話をある先生から聞いた。中国から来た留学生がこの学校の生徒の行動を見て驚いたことがいくつかあったのだという。まず、居眠りをしているやつがいること。遅刻してきても堂々とドアから入ってきて席につくやつがいること。授業の途中に先生に何も理由を告げることも無く平然とした顔で退出していくやつがいること。などだ。

俺もこの留学生の意見には賛成だ。俺は常日頃、特に、何の断りも無しに途中退出するやつらを見る度に「あんたは何様なんだ?」と心の中で思っていた。あんなことをして、申し訳ないという気持ちを微塵も抱かないような人間がこれからの日本を支えていくのかと思うと暗い気持ちになる。

いつも思う。“大”学生なんて名乗ってはいるが、小学生と中身は変わっていない、小さいやつらさ。いや、それどころか教師をナメきっている点では小学生よりタチが悪いのかもしれない。

いつも思う。ああいうやつらみたいにはなりたくないな、と。


学校から脱出し、映画館へと向かった。松本人志第一回監督作品『大日本人』を観るために。

観た。レトロな雰囲気がいい。物悲しい雰囲気もいい。音楽がかっこいい。“獣”のデザインがいい。猫ちゃんが素晴らしい。

詳しくは書かないが、色々なものが詰まっていると思った。そして、あの世界は現代日本を反映した世界であり、子供時代の松本さんや高須さんたちが見ていた原風景でもあると思った。

向井さんは日記で「実に泣けた。」と書いていたが、俺は実に笑えた。笑った。声を出さずに笑うのに必死だった。これも自分の部屋で独りで観たい映画だ。観た後も、思い出し笑いでいつまでも楽しめる。

俺は笑ってばかりだったが、物語はとてもやるせなくて切ないものだった。そのやるせなさが涙ではなく笑いとして表れてしまう、そんな映画だと思った。

   なぐさめも 涙もいらないさ
   ぬくもりが ほしいだけ
   ひとはみな 一人では
   生きてゆけない ものだから
         
       (劇中挿入歌『ふれあい』より)


押井さんの次回作の製作発表が行われた。公式HPも公開された。その作品とは、森 博嗣さんの小説を原作としたアニメーション映画『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』である。

公式HPのMessageや監督記者会見Reportの押井さんの言葉からは、「今、若い人に向けて語るべきことがある。」とい強い想いが溢れ出ている。今回は若者を主人公とし、恋愛を描き、生きることとは何なのかを描くのだという。そして今までの押井さんの映画とは全く違ったものになるようだ。さらに、プロペラ戦闘機による空中戦が登場するというのも楽しみだ。押井さんは前から戦闘機ものをやりたかったらしく、しかも空中戦に関しては宮崎駿監督よりも自信があるという頼もしい発言もしている。

何にせよ、恋愛がこの映画の鍵になるということは間違いなさそうだ。さらに、宣伝活動にも押井監督本人が積極的に協力する姿勢を見せているので、恋愛という万人受けしそうなテーマと相まって、これまでよりも多くの人に押井さんの映画を観てもらえるのではないかと俺は期待している。

スカイ・クロラ The Sky Crawlers』公式HP
http://wwws.warnerbros.co.jp/skycrawlers/