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原作・脚本・監督/押井守OVA『御先祖様万々歳!』全6話を観た。いまだかつて見たことのない斬新な映像。舞台演劇を模した演出と異常に長い長台詞。とにかく、唯一無二。既存のアニメの常識をぶち壊す実験的作品だ。

家族とは何か。虚構とは何か。物語とは何か。ひたすら自己言及、懐疑、舌戦の連続。

声優魂が炸裂する超長台詞には圧倒される。まさにプロ根性。

言葉の破壊力を全開にした作品だ。

(以下は作中の台詞から抜粋)

「現実とは事実とは、人に伝えられる形になって初めて成立するものです。目撃された印象、レトリックやシンボルに満ちた言葉、そんなものを重ねてみたところでそこに見出されるのは、人間という不確かな存在によって夢見られたイメージに過ぎません。レンズを通し、フィルムに定着された現実、冷徹な光学の原理だけが可能とする真実の記録。私は、私自身の主観に彩られたこの目を信じない。このカメラのレンズを、私自身の目として生きているのです!」

「人生という舞台には、決して書かれることのない二つの場面がある。それは己自身の誕生と死の瞬間だ、誰がそれを見ただろう、忘却の彼方に埋もれた生誕の記憶と、立ち会うことを許されん臨終の場……。人が目撃し得るのは常に他人の生と死に過ぎず、自己の存在は不確かな生と死の途上にあって絶えず不安に晒される。そのドラマは完結を無限に遅延されている。それ故にこそ人は物語を追い求めるのだ、予感に満ちた発端と感動の終幕を。始まりと終わりを……」

豆知識:1983年に発売された押井監督の『ダロス』が世界初のOVAなのだそうです。


10月9日(火)

北野武監督映画『3-4x10月』を観た。これで2回目だ。1回目の時より深く味わうことができた。画面の端から端まで研ぎ澄まされているというか、映像にすさまじい説得力がある。もちろん何かはっきりとしたメッセージがあるような種類の映画ではないのだろうけど。殺伐として暴力的で狂気に満ちた映像が不思議と美しさを放っている。何ともいえない気分になる。そしてまた観たくなる。中毒性の強い映画だ。また1年後くらいに観ることになるんだろうな。

劇場予告編

『ロンドンハーツ』のスペシャルを観た。『新兵器マジックメール ハメラレ王子は誰だSP』には笑った笑った。ロンハーはPTAの方々は好ましく思ってはいないようだけど、“人の血が通っている”番組であると俺は思っている。

ワッキーさん、末永くお幸せに。


10月10日(水)

北野武監督映画『TAKESHIS'』を観た。これで2回目だ。北野監督が言っていた「『TAKESHIS'』で自分の役者としてのキャリアをぶっ壊して、『監督・ばんざい!』で監督としてのキャリアをぶっ壊す。」という言葉の意味が今になって少しわかった気がした。監督本人が「100人の評論家が見て、7人しか分からない映画」と言っているくらいだから、わかった気がしただけでも上等、ということにしておこう。