official bootleg vol.015〜20th Anniversary〜

official bootleg vol.015〜20th Anniversary〜」
2007年11月20日(火)
@福岡 Drum LOGOS
出演:bloodthirsty butcherseastern youthBEAT CRUSADERS

を、見に行ってきた。ブッチャーズの20周年を記念したイベントだ。ブッチャーズとイースタンを一緒に見られるなんて、おトクだ!!半分以上の客がビークルを見に来た人だろうから、彼らがブッチャーズとイースタンにどんな反応を示すのか、も少し楽しみだった。

ライヴ開始前、このようなアナウンスがなされた。
 「モッシュ、ダイブ等の危険な行為はしないでください。もしこのような行為があった場合、ライブを中止させていただくことがあります。また、カメラ、携帯電話等による撮影はお断りさせていただいております。このような行為が発見された場合、即刻退場していただきます。なお、体力に自信の無い方は自ら後ろの方へ行っていただいて、余裕を持ってお楽しみください。」
 こんなアナウンスを聞いたのは初めてだった。今までに行ったどんなライヴでもこんなくだらない注意事項を聞かされたことは一度も無かった。にもかかわらず、なぜかこのアナウンスの最後の「それでは、ごゆっくりお楽しみください。」という言葉に対して多くの客が拍手をした。俺は「子供じゃないんだから、そんなこと言われなくてもわかってるって。なんでライヴ見るのに体力が必要なんだ?不愉快だなぁ。」と思い、拍手などできるはずも無かった。しかし、この時拍手した人たちはこのアナウンスには慣れているようだった。

 さて、そんな前置きは置いておいて、意外にもトップバッターがeastern youth!『街はふるさと』や『未ダ未ダヨ』などの定番曲、発売直前のニューアルバムから2曲、俺はライヴで聴くのは初めての『静寂が燃える』など、まぁ、聴き所は全て。

 吉野さんは相変わらず、全く手加減することなく、容赦ないシャウトで魂の叫びを歌い上げていた。そして掻き鳴らすギターも同じく、叫びを上げていた。 

 二宮さんはフレットレス・ベースを自在に操り、ハンパじゃない音数で超高密度な音楽表現を披露していた。ベースをやっている人、一度は彼のプレイを見ておくべきだよ、ホント。

 田森さんはあのマッチョなボディでシンバルが割れそうなほどブッ叩きまくっていた。そう、シンバルは確かに歪んでいた。

 そして、イースタンとブッチャーズ両方のファンの俺にとって嬉しいMCを吉野さんがしてくれた。「俺のギターなんて全部吉村のパクリだから。このセット(2台のアンプの組み合わせ)も吉村の真似。」吉野さんがいかにブッチャーズ、特に吉村さんに影響を受けたかがわかる。そんな影響を与えてしまう吉村さんもすごいし、「吉村のパクリ。」と堂々と誇りを持って言えてしまう吉野さんもすごい。その2台のアンプとは、sunnとRoland JCのこと。しかし、今日はFender(ツインリヴァーブ?)とJCだった。とうとうsunn、壊れてしまったのだろうか。ま、sunnもFenderの傘下なのでサウンドも近いんでしょう。20年前、初めて吉村さんのアンプを見た時、吉野さんはこう思ったのだという―「うわ、何で2台使ってるんだ!?ギャーー!グシャー!って、地震か!?歌詞、何言ってるか聞こえん!」―つまり、恐ろしくヴォリュームがでかいのだ。

 ブッチャーズに影響を受けたとはいえ、イースタンが奏でる音楽はイースタンそのもの。ここまで確固たるオリジナリティーを持ったバンドは数少ない。と、思う。もっとたくさんいるなら、誰か俺に教えてくれ。

eastern youth セットリスト(順番はやや適当)

街はふるさと
希望の丘
未ダ未ダヨ
沸点36℃
静寂が燃える
白昼の行方不明者(新曲)
荒野に針路を取れ


 イースタンの演奏が終わり、BEAT CRUSADERSのセッティングが始まる。そろそろセッティングが終わるかという頃に、また「モッシュ、ダイブ等の危険な行為は・・・(以下同文)」のアナウンス、そしてさらに盛大な拍手が。

 そしてビークルの演奏が始まった。・・・モッシュ、してるじゃん。・・・ダイブ、思いっきりしてるじゃん。あのアナウンスの意味がわかった。こういうことだったのか。なんだかジャニーズのコンサートかサッカーのワールドカップのサポーターを見ている気分だった。俺は半分くらいの時間、観客を見ていた。



 ビークルの演奏が終わり、ブッチャーズのセッティングが始まる。しかし、もうあのくだらないアナウンスが聞こえてくることはなかった。なぜなら、必要無いからだ。

 そしてとうとう本日の主役、20周年を迎えた偉大なるbloodthirsty butchersの登場だ!!20周年記念だからといって、昔の曲ばかりをやるのでもなく、全年代の曲をまんべんなくベスト・アルバムのように演奏するのでもなく、半分以上が最新アルバムの曲で、しかも新曲もやる、それがブッチャーズ。突っ走り続ける、ブッチャーズ。

 俺がライヴで聴くのは初めての『ソレダケ』、射守矢さんのベースが泣かせる『story』、ひさ子さんと吉村さんのギターソロでエンディングを飾る『banging the drum』・・・聴き所は、全て。

 吉村さんのギターは聴く者の鼓膜を突き破り、しゃくりあげるようなその声は言霊となって聴く者の胸を貫く。

 おそらく全世界で最も個性的なベーシストの一人である射守矢さんは日本が生んだロック界の至宝。これは大げさでも何でもない。あの吉村さんに「ブッチャーズはベースが命。俺はベースにギターを乗っけてるだけ。」と言わしめるほどの圧倒的存在感。一聴して即座に彼のそれとわかる美しいアルペジオと力強いコード弾きはブッチャーズのアイデンティティだ。ベースをやっている人、死ぬまでに一度は彼のプレイを見ておくべきだよ。ベースという楽器の既成概念をブチ壊されるよ。そして虜になるでしょう。

 「俺が女だったら、あんな女性に憧れるんだろうナァ。」といつも思ってしまう、我らのヒーロー(ヒロインと呼ぶにはあまりに男らしいギターさばき)、ひさ子さんはその小柄な体と細腕で愛器ジャズ・マスターをうならせていた。彼女の背後の照明がちょうど後光のように見えて、神々しかった。かっこいー。そして、時折見せるはにかんだ表情・・・

 小松さんのドラムは重くリズムを刻み、ブッチャーズという重戦車を爆走させる。自慢じゃないが、俺は小松さんと握手したことがある。自慢じゃないが、CDも渡したことがある。自慢だ。これは自慢だ。

 アンコールに応え、ブッチャーズが再登場。吉村さんが「今日は珍しいことをします。みんなで記念撮影をしましょう。」と言って、3階にスタンバイしていたカメラマンが上から会場のみんなの写真を2枚撮った。

 珍しいことはこれだけではなかった。ビークルのキーボーディストのケイタイモ氏がゲストとして登場し、彼がリクエストしたという曲をブッチャーズ+ケイタイモで演奏した。その曲とは・・・「ナンバーガールがコピってた曲です。」と吉村さんが言って演奏が始まった、そう、『プールサイド』だ!!俺はとうとうこの曲をライヴで聴けた!うっとりするほど美しい、名曲。

 さらに、「誰も知らない曲をやります。20年前にやってた曲です。」と言って始まったのは音源化さえされてない『LOW LIFE』だった。当然初めて聴いた曲なんだが、何と言うか・・・脱帽だった。結成したばかりの頃、既にこんなに革新的かつオリジナリティーを持っている曲を作って演奏していたなんて・・・。こりゃ誰も敵わない。当時ブッチャーズのライヴを見た人が受けた衝撃がどれだけのものだったのか・・・少し想像できた。

 「もう1曲、誰も知らない曲をやります。新曲だから誰も知らない。」と言って始まった『フライジング・サン』、そして2度目のアンコール『アハハン』でブッチャーズのライヴは幕を閉じた。

bloodthirsty butchers セットリスト(順番やや適当)

レダ
襟がゆれてる
神経衰弱
yeah#1
official bootleg
ギタリストを殺さないで
story
ファウスト
理由
banging the drum

〜アンコール1〜
プールサイド
LOW LIFE
フライジング・サン(新曲)

〜アンコール2〜
アハハン


 ライヴが終了したのは11時。新幹線の終電がなくなっていたが、0時10分発の特別便を何とか発見して乗りったり、タクシーに乗ったりしてどうにか家に着いた。午前1時20分。足が疲れた、と思いながらまたブッチャーズを聴いている・・・。