Blue Bunny & Stone Fox

11月27日(火)

 第1回ビートたけし監督作品 第5回北野武監督作品『みんな〜やってるか!』(1995年公開)を観た。

 怒涛のギャグの嵐。おバカ全開。有名映画のパロディも有り。笑って笑って、笑いすぎて感動してしまう、奇想天外ムービー。

 生と死、暴力、狂気、ヤクザ、静寂といった北野映画のイメージからはかけ離れた、究極のお笑いCINEMA。お笑い芸人ビートたけしの本領発揮。

 主演のダンカンさんの無機質な演技と、時代遅れの挿入歌が独特の雰囲気を醸し出している。

 俺はこの映画がかなり好きだ。何回でも観たくなる映画、それが俺にとっての“いい映画”の条件。


11月28日(水)

 北野武第6回監督作品『キッズ・リターン』(1996年公開)を観た。

 2人の少年の反抗と挫折。ボクサーとヤクザ。高校の教室に居場所は無かった。若さゆえの過ち。現実にケンカを売ったら、ボコボコに。「マーちゃん、俺たち、もう終わっちゃったのかなあ」

 子供以上大人未満の2人がもがく様を淡々と描いている。ボクシングのシーンの迫力は折り紙付だ。

 なかなか言葉に表すのが難しい映画だ。だが、難しい映画では決してない。むしろ単純明快なストーリーだが、観るたびに色々なことを感じられそうなので、今のところはあまり多くを語ることはできない。


11月29日(木)

 第3回北野武監督作品『あの夏、いちばん静かな海。』(1991年公開)を観た。

 一組の男女がいた。彼らは恋人同士だった。彼らは言葉を交わすことはなかった。彼らは聾唖だった。ごみ回収業を生業とする男はサーフィンという趣味を見つけた。仲間もできた。男は彼女を泣かせたりもしたが、2人仲良く日々を過ごした。サーフィンの腕も上達し、入賞もした。この日々はいつまでも続くのだろうか。続くのだろうか。

 暴力表現を完全に廃し、言葉を発しない2人の静かな日常を描き、そこにある心の交流と、ただ無情に過ぎていく時の無常を映し出す。感傷的な台詞や演技も大げさな音楽も何も無い。「寄ってらっしゃい見てらっしゃい!お涙頂戴の映画でござーい!」と言わんばかりの現代に溢れかえっている有象無象の純愛映画などとは一線を画している。

 ラストで見事にやられた。「そうきたか・・・。」と思いつつ、監督自身の編集によるその映像と久石譲の印象的な音楽にウルっと来てしまった。ラスト部分によって、それまでの出来事の意味合いが違ってくる。次に観るときはまた全く違って見えることだろう。


 
 これでようやく北野武監督作品全13作を観たことになる。となると、どうしてもやってみたくなるのが「私の好きな北野映画ランキング」だ。今この段階で俺が導き出したランキングであるからこれから何回も作品を観直したりすれば容易に順位は入れ替わるだろうし、自分自身の心も変化し続けるのだから、こんなランキングはナンセンスなのかもしれない。しかし、やってみたいのだからしょうがない。

私の好きな北野映画ランキング

第1位 『ソナチネ』(4作目 1993年)
第2位 『HANA-BI』(7作目 1998年)
第3位 『その男、凶暴につき』(1作目 1989年)
第4位 『みんな〜やってるか!』(5作目 1995年)
第5位 『3-4×10月』(2作 1990年)
第6位 『菊次郎の夏』(8作目 1999年)
第7位 残り全ての作品(順位を付けるにはまだ早い。もっと観直してみたい。)