サマライザー

 先日放送された『BSマンガ夜話のだめカンタービレ」』を見た。『BSマンガ夜話』とは漫画家、おたく、漫画評論家などのレギュラーメンバーに有名人ゲストを加えて、「1つの漫画作品を1時間かけて徹底的に語り合う」という趣旨の番組である。

 『のだめ』で話題に上がったのは、“マンガで音をどうやって表現するか”という技術だった。「ジャーン」や「ポロン」などの擬音語や、「♪」などの音符といったマンガにおける音楽表現の常套手段をほとんど用いず、画面構成や言葉による演出だけで読む者に音楽を聴かせる、という表現が非常に上手いのだという。さらに、ゲストであり大音出身者のKOKIAさんの目から見ても非の打ち所が無いほど音大やオーケストラの描写がリアルで、丁寧な取材をして作品を作っていることが伺えるのだそうだ。

番組に送られてきたFAXやメールから察するに、30代から70代まで、老若男女問わず多くのファンがいるようだ。特に目立っていたのは30代女性だったが。この広いファン層は、少女マンガらしからぬ素朴な絵柄と魅力的なキャラクターに引き寄せられたのだろう。

 専門家もいるので、技術的なこともかなり詳しく掘り下げていた。「絵は特に上手くはないけど、一生懸命描いているし、丁寧だ。」という見解が多数を占めていた。精細に描き込むタイプではなく、過不足無く記号化した絵を描く“マンガが上手い漫画家”なのだという。17巻のあるページで、ピアノを弾く手の指が6本あるコマがあるが、「こういうミスがあるからってこの人が手を抜いているとは誰も思わない。」という言葉も出た。

 このマンガの最も斬新な点は、指揮者とオーケストラを中心にしたストーリーに挑戦したことらしい。「指揮者は指揮をしている時何を思っているのか。」「指揮者が変わるとオーケストラの音は全く違うものになる。」といった音楽にあまり縁のない人にとっては新鮮なテーマが描かれていることが、ファンを限定するのではなく、むしろファン層を広げる結果になったのが興味深い、と俺は思う。

 ・・・と、番組の内容を日記で要約してどうするのだ?と今思った。ところで、マンガ夜話で『アゴゲン』が取り上げられる日は来るのだろうか・・・。